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東京地方裁判所 昭和44年(特わ)608号 判決

主文

1. 被告人株式会社ホテル山王を罰金九〇〇万円に被告人山田金太郎を懲役五月にそれぞれ処する。

2. 被告人山田金太郎に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

3. 訴訟費用中、証人坂口修、同矢田博之に支給した分は被告人両名の負担とする。

理由

(罪となる事実)

被告人株式会社ホテル山王は、東京都渋谷区松濤一丁目六番九号に本店を置き、旅館経営を営業目的とする資本金六〇〇万円の株式会社であり、被告人山田金太郎は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人山田は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようとくわだて、売上の一部を除外して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四〇年九月一日から同四一年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四七、六〇八、〇四二円あつたのにかかわらず、同四一年一〇月三一日東京都渋谷区宇田川町二八番地所在所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二、〇二四、五六七円で、これに対する法人税額が四、〇四六、六三〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一六、八五五、二九〇円と右申告税額との差額一二、八〇八、六六〇円を免れ

第二、昭和四一年九月一日から同四二年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四一、三八六、七五二円あつたのにかかわらず、同四二年一〇月三一日前記所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一一、一三七、一五三円で、これに対する法人税額が三、七三〇、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一四、一九六、〇〇〇円と右申告税額との差額一〇、四六五、七〇〇円を免れ

第三、昭和四二年九月一日から同四三年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四一、五一三、八一七円あつたのにかかわらず、同四三年一〇月三一日前記所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二、七五二、四九九円で、これに対する法人税額が四、一七八、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一四、二四〇、五〇〇円と右申告税額との差額一〇、〇六一、九〇〇円を免れ

たものである。(なお、右各所得の算出方法は別紙一ないし三のとおり、各税額の計算は別紙四のとおりである。)(証拠の標目)(甲一および乙は検察官の証拠請求の符号を、<不>、<株>、<預>および<会>は弁護人の証拠請求の符号を、押は当庁昭和四五年押四七三号のうちの符号をそれぞれ示す。なお、甲一のうち質問てん末書以外の書面については、いずれも資産ないし取引の帰属に関する記載部分を除く。)

全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述および検察官に対する各供述調書(乙9ないし13)

一、被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書(乙1ないし8)

一、証人坂口修、同矢田博之の当公判廷における各供述

一、登録簿謄本(乙14、15)

一、法人税確定申告書三綴(押一ないし三)、総勘定元帳四綴(押四の一ないし四の四)

現金につき

一、東京都民銀行渋谷支店長渡辺治雄作成の預金取引内容について(甲一44)

預貯金および未収利息につき

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 公表決算外預金残高および収入利息明細書(甲一28)

2 預貯金等の入出金内容調査書(甲一41)

一、太陽銀行蒲田支店長本橋達夫作成の預金等取引内容について(甲一47)

株式につき

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 公表決算外株券受払明細書(甲一31)

2 公表決算外株券残高明細書(甲一32)

一、被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書(乙7)

債券につき

一、大蔵事務官作成の公表決算外割引債券受払明細書(甲一34)

投資信託につき

一、大蔵事務官作成の公表決算外投資信託明細書(甲一36)

一、野村証券自由ケ丘支店長鈴木正俊作成の株式債券等の売買4について(甲一67)

貯蓄保険について

一、大蔵事務官作成の公表決算外貯蓄保険明細書(甲一40)

一、第百生命保険相互会社渋谷動倹支店長吉野静男作成の貯蓄保険取引内容について(甲一51)

一、第百生命保険相互会社五反田動倹支店長九鳩健蔵作成の貯蓄保険契約取引内容について(甲一51の1)

社長仮払金および未収利息につき

一、大蔵事務官作成の山田金太郎収入支出明細書(甲一42)

貸付金につき

一、生井沢酉雄、月村千代子に対する大蔵事務官の質問てん末書(甲一24、25)

一、大蔵事務官作成の預貯金等作成内容について(甲一47)

一、被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書(乙7)

一、被告人の検察官に対する供述調書(乙13)

社長仮受金につき

(イ) 被告人の事業歴、個人資産の取得とその運用につき

一、証人茂木康生、同古橋謙輔、同鍵谷平八郎、同小田千枝、同笹岡きみ、同手塚ふみ、同南雲今朝雄、同安川純一、同田口清、同須見操、同山田寿代子の当公判廷における各供述

一、登記簿謄本等(<不>一の一ないし一七の五)

一、株券売渡計算書等(<株>一ないし三五の四)

一、法人税確定申告書等(<会>一三ないし一七)

(ロ) 株式売却益につき

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 公表決算外株券受払明細書(甲一31)

2 山田金太郎収入支出明細書(甲一42)

(ハ) 債券償還益につき

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 公表決算外割引債券受払明細書(甲一34)

2 山田金太郎収入支出明細書(甲一42)

(ニ) 投資信託売却益につき

一、大蔵事務官作成の公表決算外投資信託明細書(甲一36)

(ホ) 配当収入につき

一、金融機関、証券会社および株式発行会社等作成の株式の異動および支払配当金額について(甲一68、72、73、75ないし78、81、85ないし87、90ないし92、95、98、104ないし111、113ないし121、123、124、126、128、130、132、134ないし136、139、141)

一、大蔵事務官作成の山田金太郎収入支出明細書(甲一42)

(ヘ) 預金利息につき

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 公表決算外預金残高および収入利息明細書(甲一28)

2 山田金太郎収入支出明細書(甲一42)

(ト) 保険利息につき

一、大蔵事務官作成の公表決算外貯蓄保険明細書(甲一40)

(チ) 投資信託配当金につき

一、大蔵事務官作成の公表決算外投資信託明細書(甲一36)

(弁護人の主張に対する判断)

第一、弁護人の主張

一、預貯金等の資産の帰属について

検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する預貯金(未収預金利息を含む。以下、同じ。)、株式、債券、投資信託、貯蓄保険の中には、被告人会社に帰属するもののほか、被告人山田(以下、単に被告人という。)個人に帰属するものが多数含まれている。すなわち、検察官が被告人会社の所得であると主張する金額は、被告人会社の所得との合計額であつて、そのすべてが被告人会社の所得ではない。したがつて、本件各事業年度における被告人会社のほ脱所得は、検察官主張の額よりも少額である。その理由は次のとおりである。

(一) 被告人の事業歴、資産の取得とその運用について

被告人は、昭和の初期から駄菓子屋(山家)、喫茶店(鳩の家、田園)等を営み、戦後もいち早く食べ物屋、和菓子屋(田屋=株式会社エルサ商会)等を営んで多額の利益をあげ、これらの利益によつて多くの預貯金、土地、株式等を取得するとともに、これらを運用して被告人会社設立時(昭和二九年三月二二日)において、すでに相当な個人資産を保有していたが、被告人会社設立後も、さらにこれらの個人資産の運用をはかり、本件各事業年度当時においては莫大な個人資産(預貯金、株式、債券、投資信託、貯蓄保険等)を蓄積していた。そして、被告人は、右個人資産の取得およびその運用にあたつては、被告人ないしその家族の実名義のほか、いわゆる仮名ないし無記名等をも使用していたのであつて、検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する預貯金等の中には被告人が仮名ないし無記名で取得したものも多数含まれているのである。

(二) 検察官主張の繰越利益剰余金について

検察官は、昭和四〇年八月三一日現在における被告人会社の繰越利益剰余金(過年度金額)が一億四、〇〇〇万円余りであると主張しているが、被告人が被告人会社の売上除外を行うようになつたのは昭和三九年ころからであり、しかも当初はその除外額もわずかであつたのであるから、昭和四〇年八月三一日現在における被告人会社の繰越利益剰余金(すなわち、被告人会社の同日までの売上除外額)が検察官主張のような莫大な金額になることは到底ありえないことであつて、検察官が右のような誤つた主張をするにいたったのは、検察官が被告人個人の資産を過少評価し、本来被告人に帰属する資産を不当に被告人会社の資産に組み入れたことに基くものである。

二、被告人会社のほ脱所得金額について

本件各事業年度における被告人会社のほ脱所得金額は、検察官主張の財産増減法では確定することができない(被告人会社の資産と被告人個人の資産を判別できないから)ので、次に述べる方法で確定すべきである。

(一) 被告人会社の売上除外は昭和三九年ころから行われるようになつたもので、しかも当初は除外額もわずかであつたのであるから、昭和三九年八月期における被告人会社の公表売上高はほぼ信頼することができる。また、昭和四四年八月期以降の決算は、いずれも本件査察後の公明正大なものであるから、その公表売上高も信頼することができる。そして、被告人会社の売上は昭和三九年八月期から同四四年八月期まで順次上昇していつたものであるから、昭和三九年八月期の公表売上高と同四四年八月期のそれとの差額が、昭和四〇年八月期から同四三年八月期までの被告人会社の売上上昇分ということになる。

(二) そこで、右差額分だけ年々平均的に売上が上昇したものとして昭和四〇年八月期から同四三年八月期までの売上除外額を算出し、さらに右売上除外額を基礎として、これに被告人が被告人会社に貸付けた金銭(被告人会社の不動産購入資金)の利息等を考慮して被告人会社のほ脱所得金額を算定すべきである。右の方法で被告人会社の本件各事業年度における売上除外額およびほ脱所得金額を算出すると次のとおりである。

年度

売上除外額

ほ脱所得金額

(イ)

昭和四一年八月期

一三、八〇〇、〇〇〇円

一一、四九五、七六〇円

(ロ)

同 四二年八月期

二〇、五六一、〇〇〇円

一八、四八三、八三〇円

(ハ)

同 四三年八月期

二三、五一七、〇〇〇円

二二、五八七、五九二円

第二、当裁判所の判断

一、預貯金等弁護人主張の資産の帰属について

(一) 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する預貯金、株式、債券、投資信託、貯蓄保険は、その大半が被告人ないしその家族の実名義ではなく、いわゆる仮名ないし無記名で取得(取引)されているところ、被告人は、捜査時、査察官ないし検察官に対し、仮名ないし無記名で取得(取引)した資産はいずれも被告人会社の簿外資産である旨、また被告人ないしその家族の実名義で取得(取引)した資産であつても、検察官が被告人会社の簿外資産であると主張しているもの(郵便貯金、投資信託の一部、貯蓄保険の一部)は被告人会社の簿外資産である旨それぞれ検察官の主張にそう供述している。

ところで、橋本昇に対する大蔵事務官の質問てん末書(甲一9)、大蔵事務官作成の書面(甲一33、41、57ないし63)、金融機関等作成の書面(甲一44、47、48、50、65、66、128)、押収してある証拠物(押一〇ないし一二、一六、二九、五七ないし六〇、六二、六三)によると、次の事実が認められる。

1 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する預貯金のうち、一部のものは預け先銀行の関係書数中に「山王」または「山王うら」と記入されていること、また一部のものは被告人が銀行から仮名で借りていた貸金庫内にその預金通帳、預金証書、使用印鑑等が保管されていたこと(この点に関し、被告人は、捜査時、検察官に対し、貸金庫には被告人会社の簿外の預 金通帳、有価証券、貯蓄保険証券等を主として保管していた旨供述している。)、そして他の預金は右「山王」等と記入されていた預金および貸金庫内に保管されていた預金とつながりがあること。

2 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する株式、債券、投資信託のうち、一部のものは前記貸金庫内にその関係書類が保管されていたこと、また右各資産相互の間につながりのあるものが多いこと。

3 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する貯蓄保険は、その掛金が被告人会社の本館で被告人から直接支払われ、また被告人の指示で<秘>扱いとされていたこと、掛金の支払資金と検察官が被告人会社の簿外預金であると主張する仮名普通預金との間につながりがあること。

以上認定の事実および前記被告人の捜査時の供述を総合して考えると、検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する前記預貯金等の資産は、すべて被告人会社の簿外資産であるとも一応考えられる。

(二) しかしながら、一方、被告人は、当公判廷において右捜査時の供述を覆えし、検察官が被告人会社の資産であると主張するもののうちには、被告人個人に帰属するものが多数含まれている旨供述しているところ、被告人の当公判廷における供述および証拠の標目掲記の関係各証拠によると、次の事実が認められる。

1 被告人は戦前、戦後を通じ、菓子小売業(山家)、喫茶店(鳩の家、田園)、生菓子小売業(田屋)等を営み、これらの利益によつて多くの預金、不動産、株式等を取得するとともにこれを運用して、被告人会社設立(昭和二九年三月二二日)のころには相当の個人資産を蓄積するにいたり、さらに被告人会社設立後もこれらの資産の運用をはかつていたこと。

2 検察官の主張によると、被告人個人の預金在高は昭和三六年八月現在および同三七年八月現在各二〇〇万円強、同三八年八月現在三〇〇万円強、同三九年八月現在七〇〇万円強、同四〇年八月現在一、〇〇〇万円強であつたというのであるが、被告人は被告人会社設立以前に、すでに日本相互銀行蒲田支店に一、〇〇〇万円単位の個人の預金を有し、また昭和二九年ないし同三一年ころ、三井銀行雪ケ谷支店に一、〇〇〇万円程度の個人の預金を有していたほか、そのころ、すでに同支店の貸金庫を利用していたこと。

3 検察官の主張によると、被告人個人の株式在高は昭和三五年八月現在から同四〇年八月現在まで、常時、約一、〇〇〇万円から一、三〇〇万円であつたというのであるが、被告人は昭和二四、五年ころから株式の売買を始め、常時、市場の取引の最低単位の一〇倍から二、三〇倍の売買をしていたこと。

以上認定の事実に前記被告人の当公判廷における供述を合せ考えると、検察官が主張する被告人個人の資産はその被告人会社の資産と対比し、少なきに過ぎるものというべきであり、したがつて、検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する前記諸資産の中には被告人個人の資産も混入している可能性が濃厚である。よつて、本件各事業年度における被告人会社の各ほ脱所得金額について、検察官の主張をそのまま採用することはできない。

二、被告人会社のほ脱所得金額について

(一) 弁護人主張のほ脱所得金額の算出方法について

弁護人は、被告人会社の昭和三九年八月期における公表売上高が真実であること(すなわち、売上除外がなかつたこと)および昭和三九年八月期から同四四年八月期まで被告人会社の売上が順次上昇していつたことを前提として本件各事業年度における被告人会社の簿外の売上高を推計し、これを基礎として被告人会社の本件各事業年度における各ほ脱所得金額を算出している。しかしながら、証人坂口修、同矢田博之の当公判廷における各供述によると、昭和三九年八月期中にはすでに売上除外があつたものと認められ、また、被告人個人と被告人会社の総合した財産の増加状況(これが検察官主張のとおりであることについては、弁護人も認めている。)および被告人会社の公表売上高の推移(<会>一三ないし一七)を考えると、被告人会社の売上は、昭和三九年八月期から同四四年八月期まで順次上昇していつたものとも認められないので、弁護人の主張はその前提を欠くばかりか、弁護人の主張によると、被告人会社の簿外の資産運用益を全く考慮しないことになるので、結局弁護人のほ脱所得金額の推計は合理性がないものというべきであつて、採用することができない。

(二) ほ脱所得金額の合理的推計

前記のとおり、検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する預貯金、株式、債券、投資信託、貯蓄保険の中には、被告人個人に帰属するものが含まれているものと認められるが、これを被告人会社の資産と被告人個人の資差とに分別することを可能とする証拠は見当らない。したがつて、検察官主張の財差増減法のみによつては、被告人会社の真実のほ脱所得金額を算出することは不可能である。

ところで、検察官主張の被告人会社の各所得金額が被告人会社の所得および被告人個人の所得の合計額であることについては、弁護人もこれを認めているところ、証拠の標目掲記の各証拠によつてもこれを確認することができる。そこで、右各所得の発生原因のうち、前記諸資産の運用によつて生じた収益、すなわち株式売却益、債券償還益、投資信託売却益、配当収入、預金利息、保険利息、投資信託配当金(以下、これらを単に資産運用益という。)について、本件各事業年度ごとに、かつ、<1>被告人会社の公表の資産運用益、<2>検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する資産運用益、<3>検察官が被告人個人の資産と認めた資産運用益に分けて、これを証拠(証拠の標目中、社長仮受金(ロ)ないし(チ))によつて検討算出すると、次のとおりである。(明細は別紙五ないし八のとおり。)

1 昭和四一年八月期

<1> 被告人会社の公表の運用資産益 一八、六一四円

<2> 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する資産運用益 一一、七八〇、八八四円

<3> 検察官が被告人個人の資産と認めた資産運用益 一、九二七、七八六円

計 一三、七二七、二八四円

2 昭和四二年八月期

<1> 被告人会社の公表の資産運用益 二四、二五五円

<2> 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する資産運用益 一一、五六三、五四九円

<3> 検察官が被告人個人の資産と認めた資産運用益 二、二七〇、五四八円

計 一三、八五八、三五二円

3 昭和四三年八月期

<1> 被告人会社の公表の資産運用益 一〇、五九七円

<2> 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する資産運用益 一五、一二三、一二七円

<3> 検察官が被告人個人の資産と認めた資産運用益 二、六九五、三二二円

計 一七、八二九、〇四六円

右認定の各事業年度における資産運用益の合計額に当ることになるが、前記のとおりそのうちいくらが被告人会社に属し、いくらが被告人個人に属するのかは証拠上判然としない。しかしながら、前期認定の被告人の事業歴、被告人個人の資産の取得とその運用状況および被告人が当公判廷において、被告人関係の資産運用益(右<1><2><3>の合計額)の約半分が被告人個人のものである旨供述していることを合せ考えると、右<1><2><3>の合計額のうち、その半分を被告人個人のものと認めるのが相当である。なお、被告人会社の公表の資産運用益は被告人個人の資産運用益から控除する必要があるので結局、右<1><2><3>の合計額の二分の一から被告人会社の公表の資産運用益(<1>)を差引いた金額を被告人個人に属する収益としてこれを認容し、検察官主張の本件各事業年度における被告人会社の各ほ脱所得金額から控除することとする。右被告人個人の分として認容する全額は、次のとおりである。(計算は別紙五のとおり)

1 昭和四一年八月期 六、八四五、〇二八円

2 昭和四二年八月期 六、九〇四、九二一円

3 昭和四三年八月期 八、九〇三、九二六円

以上述べたところによつて被告人会社の本件各事業年度における各ほ脱所得金額を算出すると、別紙一ないし三のとおりである。

(法令の適用)

被告人会社につき各法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。刑訴法一八一条一項本文(主文3)。

被告人山田につき各法人税法一五九条(各懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第一の罪の刑に加重)。同法二五条一項(主文2)。刑訴法一八一条一条本文(主文3)。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一 修正貸借対照表

株式会社ホテル山王 昭和41年8月31日

<省略>

<省略>

別紙二 修正貸借対照表

株式会社ホテル山王 昭和42年8月31日

<省略>

<省略>

別紙三 修正貸借対照表

株式会社ホテル山王 昭和43年8月31日

<省略>

<省略>

別紙四 税額計算書

株式会社ホテル山王

<省略>

別紙五 資産運用益

<省略>

別紙六 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する

株式売買損益内訳

<省略>

<省略>

別紙七 検察官が被告人会社の簿外資産であると主張する

株式配当収入内訳

<省略>

<省略>

別紙八 検察官が被告人個人の資産と認めた

資産運用益

<省略>

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